■【予備知識ー地平線までの距離】
平地に立った人の目の高さをh, 地球の半径をrとすると
ピタゴラスの定理 r^2+d^2=(r+h)^2
から目と地平線との距離 d=sqrt(h(h+2r)) となる。
視点高さh=1.6m、r=6371000mを当てはめるとd=4515.22m。
なんと地平線まではたったの4.5km。ゆっくり歩いて一時間で行ける距離ではないか。
ちょっと拍子抜けである。
hを色々変えて自分で計算してみたい方は以下のURLを使うと楽なのでお試しを。
自分の居る場所の海抜が上がれば地平線は急激に遠くなることもよくわかる。■【どれだけ遠くから見えるか問題】
「地上のある物体が別のある場所から見えるかどうか」というふうにこの問題をより一般化して考えてみたい。これは例えば遠く離れたところから富士山が見えるか?とか南天の輝星カノープスが見える北限はどこか?とか、余部埼灯台の光が何海里先からみえるか?とかといった問題だ。
この記事の主題に沿って各点にひらがなで符号をつけた。
視点高さh1から別の場所の高さh2の対象がギリギリ見えるとき、視点と対象を結んだ線が地面や海面と接する接点[う]、地球の中心[ち]、視点[き]、対象[あ]を結んだ二つの直角三角形[きうち][あうち]を考えればよい。
見る方も見られる方も同じで接点[う]までの距離は標高によって定まるので、双方の標高が与えられればギリギリ見える距離はそれぞれd1=[きう]とd2=[あう]を加算するだけで求まることになる。
地球は赤道が膨らんだ楕円体だけど概算なので真球、切り口は真円でと仮定、
平均半径r=6371kmを採用しておく。
視点または対象の標高hが決まればそこから水平線(地平線)までの距離dはピタゴラスの定理
r^2+d^2=(h+r)^2
から簡単に求まり
d=sqrt(h(h+2r))
であるが、実用的にはもう少し簡単化できる。
r>>hなのでh+2r→2rと置き換えても差し支えないのだ。
念のため具体的な数値を入れて誤差を確認しておこう。
海抜300mの視点や光源から水平線までの距離を確認してみる。
厳密式:sqrt(300(300+2*6371000))=61827.90632069
近似式:sqrt(300( 0 +2*6371000))=61827.17848972
62㎞の数値に対し誤差1m未満なのでこの程度の標高なら近似式を使って全く問題ないことがわかる。ロケット打ち上げなどを調べるときは当然この近似式だと誤差が大きくなる。
近似式にすれば見る側と見られる側を加算する際も定数sqrt(2r)で括って簡単化できる。
d1+d2=sqrt(2r)(sqrt(h1)+sqrt(h2))
r=6371000mを代入すると
d1+d2=3569.6(sqrt(h1)+sqrt(h2))
1海里1852mで割ると
1.927 (sqrt(h1)+sqrt(h2)) 海里
ところが船乗りの間で用いられる有名な式は
2.083 (sqrt(h1)+sqrt(h2)) 海里
とされていて係数が違っている。
これは大気差によって遠くのものが浮き上がって見えるため結果的に遠くの灯火まで見えるようになることを係数に含めているためだ。と思う。
船乗りたちの使う経験値は2.083/1.927=1.0809
つまり8.1%遠くの灯台の光も見えることにしているわけだ。
もちろん大気の物性値の高度分布が異なれば屈折の様子も異なるので厳密な計算はできないが経験的・平均的にこの距離にある十分明るい灯台の光は見えることが分かっているらしい。
勘違いしてはいけない点がある。上記の式は灯台の光を夜間観察する際の経験則である。あべのハルカスの展望台の照明や航空障害灯が夜見えることと、同じ距離から昼間のビルの様子が見えることは全く別の課題である。コントラストが違うため後者の方が格段に難しいだろう。遠隔地からロケット打ち上げを捉える際も夜間なら容易に見えるものが昼間だと途中に散乱光が重なるため極めて難しい。ビルを照らす太陽光の反射と周囲の明るさとの差がビルの形を示すが、ビルと視点の間にある大気中の塵などによる散乱光が重なってSN比が悪化するためコントラストは必ず下がってしまう。
ちなみに距離の単位「海里(nautical mile)」は地球楕円体の緯度1’に相当する。およそ4万キロの円周を360x60で割ってみると1852mになる。これを距離の単位にしておくと海図を読んだりするときに非常に都合が良いのだ。海里も定義によって色々あるが端数のない1852mが国際海里として定められた。船の速度を表すノットは1海里/hである。
天文分野では星の位置測定などで常に問題になるため真位置高度がどの視位置高度に見えるかという式が様々に提案されている。これは大気の物性値の高度や位置による分布が光路すべてにわたって明らかでないと計算できない量であり推定するのは困難だ。
経験的には見かけ高度0度での大気差は角度の34’20”といわれるのでおよそ太陽や月の直径程度と覚えておけばよい。見かけ高度5°なら9’50”、見かけ高度10°なら5’といった具合だ。
沈む月を赤道儀の等速回転で追尾していると高度が下がるほど視野を外れて浮き上がるように見える。このような現象があるため太陽や月の出没時刻を正確に予報するのは難しい。
■等価地球半径
可視マップ等の機能を持つ多機能ソフト「カシミール3D」では各種計算やシミュレーションに大気差を考慮できるようになっている。山岳展望景観をシミュレートしたり、〇〇山から△△岳山頂が見えるかといった計算も可能でそのための設定項目を持っている。観測地や対象物の標高が高いことも多いので大気差を反映できることは重要な機能である。
具体的にはメニューの「表示」→「計算仕様の設定...」→「気差を含んだ地球半径の倍数で設定する」という設定項目があり、デフォルトでは「1.15600」倍となっている。
また、無線通信の分野では電波の到達距離が問題となるが、「等価地球半径」として地球の半径に4/3=1.33333を乗じた球面を設定し、電波の進行については屈折せず直進するという前提で計算することが多いらしい。
波面が大気中を進むうち密度の高い下方に向かって屈折し到達距離が伸びるのは電波も光も同様でありカシミール3Dと基本的には同じ考え方のようだが係数が異なっているのは波長の違いだろうか?
■【赤外線で昼間のあべのハルカスを狙ってみる】
あべのハルカスを昼間確認するためにはおそらく散乱光をカットできる赤外線撮影が一番有効だろうと考え、日没前に山頂展望台から木の枝越しに狙ってみたところ明石海峡大橋の主塔は簡単に捉えることができた。しかし、橋の下に見えるはずのあべのハルカスビルそのものは写らなかった。少し透明度も不足していたかもしれない。また、撮影に適した太陽高度は別にあるかもしれない。ビル壁面の素材によって反射率が異なるし、反射率は波長によっても異なる。赤外線は散乱光をカットしてコントラストを上げてくれるがガラス面の多いビルに対して背景とのコントラストが良いかどうかはわからない。今後の課題である。
課題はもうひとつ、日没時の太陽光が反射するラインを計算することでイリジウムフレアのように劇的に輝く日時がないか検討してみる必要がある。→GoogleEarthで確認すると西向きの面の法線はかなり北よりに向いており西日の反射光を見るのは年間を通じて無理そうだ。代わりに南向きの面は冬至の頃の日の出を反射して見えそうな角度である。今は2月なので手遅れだが年末までにはちゃんと計算してチャレンジしてみたい。月でも太陽でも金星でもよい。真北を0度とすると時計回りに120度あたりの方角から天体が昇る際にその光は金甲山方向に反射しそうだ。反射するのは天体の高度が低い間だけだろう。←と書いてはみたが大阪平野の東に400m越えの生駒山があるため金甲山とはお互い可視の位置関係になり水平な太陽光があべのハルカスに当たることはないので難しそうな気がする。
それにしても、西に向かって美しい夕日を撮影する観光客たちに背を向けて雑木林にカメラを向けてシャッター切りまくる奇妙なヒトになってしまった。
橋の下に見える光は航路灯。中央灯と右舷灯は見えるが左舷灯は木の枝に隠れている。
この赤外線改造カメラのフィルターはIR720。ホワイトバランスをカスタムとしほぼグレーに写るようにしている。
撮影は岡山での日没時、大阪は日没後になるのであべのハルカスの航空障害灯が点灯開始で写ったものと思われる。(道路より下にぶら下げている設備は存在しない。)ガラスで覆われた感じのビルは赤外線を乱反射しないためなのだろうか建物は写っていない。右隣のコスモタワーは建物の姿が写った。受け売りで「金甲山からあべのハルカスが見える」という人が居るが「おまえ、見たんか?」と問い詰めたい。遠くの灯台が発する光が見えることと灯台の姿が見えることは全く違うのだ。
主塔の北側、真西を向いて建つ14階建ての高層マンション「リブコート垂水駅前プライムブルー」西日に照らされて赤外線でも明るく輝いている。
■【ライトアップ中の明石海峡大橋】


金甲山山頂展望台(三脚込みで約405m)から樹木越しに見たあべのハルカス(本州側橋脚の少し右、橋の下に見える白っぽい光)とコスモタワー(さらに右の赤い光)
平日23時消灯の前後2コマを比較のため交互に表示するGIFアニメーションにしてみただけなので、ライトアップでこのように点滅させているわけではない。
@motoko_ishii 石井幹子氏がそんな事するわけないので誤解なきように。
明石海峡大橋のライトアップはWikipediaによると以下の通り。
- 平日:春季は緑、夏季は青、秋季は赤、冬季は黄。
- 休日:緑と青。
- 時報パターン(正時):虹色。
- 時報パターン(毎30分):誕生石をイメージした色。
- 阪神・淡路大震災発生日の1月17日は、鎮魂の願いを込めた白一色となる(時報はなし)
実際にはもっと色々なパターンが用意されているので正確には管理者が発信する情報を確認すべき。消灯時刻も23時の日と24時の日があるし、ライトダウンなどというふざけた日もあるので要注意だ。
明石海峡大橋 ライトアップスケジュール 特別ライトアップのご案内
ついでだが画面左端、須磨あたりの山影の向こうに生駒山山頂の電波塔につけられた赤の航空障害灯が見えている。157.8km先と遠いけど642m+塔の高さがあるので幾何学的には余裕で見える範囲である。須磨の山影は後ろに神戸大阪の明かりがあるためシルエットで見えていて、須磨浦の回転展望台も写っている。生駒山の向こうは暗いのでシルエットになっていない。
参考までに、撮影時のSCW。岡山から大阪平野まで上空に雲がなかったのである程度確信を持って出撃できた。ただ、雲があっても雲の下は晴れていて遠くがよく見通せる場合もあるので必ずしも光路全体に渡って晴れていなければならないということはないのかもしれない。逆に光路全体が快晴下であっても靄がひどく明石海峡大橋のライトアップさえ全く見えないこともある。また、僅かな靄であっても明るい月があると光路中の散乱光が積分されてコントラストを悪化させ遠くの光は見えづらくなる。
■【金甲山の奇跡】
基礎となる計算式がわかったところで岡山県金甲山の奇跡について確認しておきたい。
まずは方位の奇跡である。海面の盛り上がりが邪魔で見えるかどうかというレベルの話なので途中に島や山があると問題外なのだが下の地図を見るとわかるように金甲山とあべのハルカスを結んだ線上には見事に何も障害物がない。あべのハルカスの位置が少し北にずれると須磨浦の山に隠れるし南にずれると淡路島に隠れてしまう。家島諸島最南の松島も主塔より北に避けてくれている。ピンポイントで狙ったかのように見通せる位置にあるというのはもう奇跡としか言いようがない。
そして、距離の奇跡。
かなり前から巷でささやかれている話題に「大阪のあべのハルカスが見える本州最遠が金甲山らしい」というものがある。まぁこれはすでに実証された事実でありTV番組で取り上げられたこともあるようだ。
あべのハルカス 本州最遠望 岡山県(金甲山)から143km彼方を望む!ギリギリ撮影記録
それでは前述の計算式に数値を当てはめて確認してみよう。
金甲山山頂展望台:h=403
あべのハルカス:H=320(この場所の標高はGoogleEarthから読み取った20mを採用し、ビルの高さ300mを加えた。)
大気のない場合の限界距離
3569.6(sqrt(403)+sqrt(320))=135514m
大気がある場合の限界距離は
135514*1.081=146477m
金甲山山頂とあべのハルカスの距離をGoogleEarthの距離測定ツールで読み取ると
142.4㎞ である。これを上記の限界距離と比べてみる。
あべのハルカス
大気なし限界距離 実際の距離 大気あり限界距離
135.5km < 142.4km < 146.5km
この2地点は大気がなければ見えないけれど大気があれば見えるという
絶妙な距離にあることがわかる。これはもう奇跡としか言いようがない。
大気あり限界距離ー実際の距離=146.5-142.4=4.1㎞
あべのハルカスよりも手前にあるコスモタワーについても計算しておこう。
大気のない場合の限界距離は
3569.6(sqrt(403)+sqrt(256))=128773m
大気がある場合の限界距離は
128773*1.081=139204m
GoogleEarthで計った実距離は133.4㎞
コスモタワー
大気なし限界距離 実際の距離 大気あり限界距離
128.8km < 133.4km < 139.2km
コスモタワーについても、大気がなければ見えないけれど大気があれば見えるという
絶妙な距離にあることがわかる。
大気あり限界距離ー実際の距離=139.2-133.4=5.8㎞
となり、あべのハルカスの4.1㎞よりも余裕がある。
従って標高が低くても近くに建っている分コスモタワーの方がより高く見える。
実写画像や動画はそれを実証している。
■【GoogleEarthによるレンダリング】

前述のGoogleEarth平面地図をそのまま使って上空約1000mから見たところをレンダリング。大気による散乱をシミュレートするモードはあるが大気差は反映されないので視点高度を上げないとあべのハルカスは見えない。青い横線は明石海峡大橋の海抜65mの道路部分。(65mという数値は船舶のための制限高さなので実際の道路下部はもう少し高いはず。また道路は中央部がより高くなっている。)海上の線は金甲山山頂と各ターゲットを結んだもの。緑線は生駒山山頂の一番高い無線塔に向かう線。松島のシルエットでは左端と真ん中の凸部の中間の谷あたりを通るので撮影画像とよく一致している。建物の3Dデータも反映するモードでレンダリングしているためあべのハルカスやコスモタワーも立ち上がっている。生駒山の無線塔も再現されている。
犬島を含めた広い視野で位置関係を確認する
GoogleEarthのHFOVはデフォルトが約60度で明示的にこれを変更する機能が無いので超望遠でのシミュレーションができないと思っている人が多いがそんなことはない。HFOVを変更するKMLを一度読み込むだけでアプリケーションを終了するまでそのHFOVが保たれ再起動するとデフォルトに戻るという仕様だ。
Google Earth Studioを使うとFOV変更を含め様々な条件を指定して動画を作成することができる。Google Earth内で定義した位置や曲線をKMLでエクスポートし、Google Earth Studioにインポート&オーバーレイ表示することも可能だ。金甲山上空を通過してあべのハルカス手前までわずかに蛇行しながら飛行するシミュレーションを作成してみた。
■【須磨浦回転展望台と生駒山上電波塔群】
明石海峡大橋の左側には須磨浦の山上にある回転展望台が写っている。その山のシルエットのはるか先には生駒山山頂の電波塔群が写っている。主塔の次に目立つビルはTio舞子(101m)だろう。
明石市沖合高度300mからのGoogleEarthレンダリングでこれらの位置関係がよく分かる。
(赤い縦棒はあべのハルカスの位置と高さを表している。緑の線は金甲山と生駒山を結ぶ線。建物の3D表示をONにしているのでビルやマンションもリアルに表現されているがこれはシミュレーション画像である。)
■【神戸空港-UKB】
明石海峡大橋を夜間タイムラプス撮影するとわかるが離着陸とも明石海峡大橋の西上空のある一点で方向転換し空港に向けて同じラインをまっすぐ辿っているように見える。海上都市ポートアイランドのさらに沖合約1キロメートルに造成された人工島に造られた神戸空港はほぼ東西方向2500mの滑走路が1本あるだけだ。金甲山からは水平線の向こうなのでここに着陸する航空機はまっすぐ海面に突っ込んでいくように見えるのが面白い。
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犬島の防波堤の明かりを真上に伸ばし、画面左端の強い明りを右に伸ばした交点にあべのハルカスがある。Borg77mm+Reducer 合成fl=330㎜とEOS6Dのファインダー内では明石海峡大橋のストロボライト3灯がかすかに確認できる程度なので混みいった枝越しの導入はちょっと難しい。方向がわかればISO6400、10秒程度であべのハルカスも判別できる程度に写るので400mm程度の望遠レンズを使える人はチャレンジしてみてほしい。上の画像は少しCropしている。純白の主塔は太陽光が当たっているとよく分かるので夕日が沈む前に位置を捉えて枝の影響ができるだけ少ない位置とレンズの高さを探しておけばよいだろう。展望台の上ではいくら移動しても完全に枝を避けられる場所は見つけられなかった。テーブルの上に三脚を立てても同様だった。
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Wikipediaを見ると「神戸空港の運用は、着陸は東向き、離陸は西向きが基本であり、多少の追い風でもこの運用を行っている。」とのこと。東京に向かう機も一旦明石海峡大橋を越えて西に進み北にUターンしたのち東に向かうことになる。ただ離陸と重なった着陸機が南に回避したのち東側から極めて小さく小回りして着陸する場面もあった。
西から次々着陸する様子
西に向かって離陸する機を南に避け小さく回り込んで東から着陸する様子
タイムラプス(1コマ10秒)のうちの8コマを比較明合成したもの。神戸空港滑走路へ着陸する様子。まるで特攻隊だ。層状の不均一部分での屈折により上下方向に光が歪められ航空機が蛇行しているかのように写っている。明石海峡大橋のメインケーブルも歪んで見えている。撮影日は土曜だったのでライトアップの色は緑だった。
上の着陸機を含めて写っていた全部で11回の離着陸の様子を比較明合成したもの。
滑走路が近いので着陸のラインはきれいに揃っている。
タイムラプス動画にグリッドをオーバーレイしてみた。かなり手前にある松島沖の定置網の明かりはあまり動かないが、遠くになるほど大気差の影響はより大きくなり、その変動によって見かけの位置(高さ)が時間によって変化していることがわかる。このように変動するため厳密値は算出できない。船乗りたちが経験値で8.1%増しとしているのはこのような事情なので場合によってはこれより遠くまで見えるかもしれないし、透明度が良くてもこれより近くまでしか見えない場合もあることだろう。
下の画像の右寄りに見える明るい建物はおそらく14階建てマンション「リブコート垂水駅前プライムブルー」と思われる。明石海峡大橋の素晴らしい眺望と西日のキツさを秤にかけるべき物件だろう。この物件の住人と友達になってベランダからレーザーポインタで合図を送ってもらいたいものだ。手前の海面が盛り上がっているため上層階しか見えていない。シルエットになっているのは松島。松島灯台は3秒に一回光っている。

山登りをする人にはよくわかることだろうが、こちらが高く上るほど遠くの高い山は低い山と比べてより高くせりあがってくる。金甲山の山頂展望台とほぼ同じ高さにある2等三角点の海抜は403.4mでこの高さから見たあべのハルカスとコスモタワーはほぼ同じ高さで明石海峡大橋の橋のすぐ下に双方の頂上が見えている。
金甲山自体は三角点の高さ以上に登れないが、山頂を取り巻く形で放送各局の電波塔が立ち並んでいる。この上に登ることができれば10m位は標高を稼げそうだ。このとき
大気のない場合の限界距離
3569.6(sqrt(413)+sqrt(320))=136398m
大気がある場合の限界距離は
136398*1.081=147446m
となり、三角点の高さから見る146.5kmよりさらに900mほど余裕ができることになるのでビル頂上の見かけの位置もせり上がり、もしかしたら明石海峡大橋の路面の上に突き出た姿が写るかもしれない。
TSC/RNCのタワーの上の方に広い足場があるので作業自体は可能だろう。
どこの局でもいいけど番組の企画でやってくれないものだろうか?
企画でやるなら屋根瓦用のリフトを立てかけてパン&チルト微調整付き望遠カメラを上下させれば夜間の高所作業でカメラマンを危険にさらすことなく足場よりもさらに高い位置からも撮影できるだろう。カメラ位置の上昇とともにあべのハルカスがコスモタワーよりも高くせりあがってくるとことが実証できるかもしれない。
この画像は山頂展望台より20m程低い駐車場から撮ったもの。この日は大気差が大きく駐車場の高さからでもあべのハルカスの航空障害灯が写ったが条件によっては全く見えないことも多い。コスモタワーの最上部にある航空障害灯は常時見えているが一段下がった位置の航空障害灯は大気差の程度によって見えたり見えなかったりする。
撮影に使った光学系はセレストロンC8+フラットナーレンズ+HKIR EOS6D(D=200mm、 合成fl=2500mm)で40コマほどを平均化処理してある。気流の状態が良かったことや大阪方面の背景光が明るめだったことなどからハンガーロープがきれいに写った。その後何度か撮影のチャンスがあったがこのときのように解像できておらず運が良かったのだと思う。
宮地エンジニアリング(株)の宮地技報No.14 P83-93「明石海峡大橋補剛桁の架設」
によるとこのハンガーロープのピッチは14.2mである。資料内の図面を見ると橋桁を構成するトラス構造のピッチも同じになっていることが分かるが、このことは橋桁のシルエットが写った上の画像でも確認できる。別のライトアップの画像を見ると照明はハンガーロープの位置に取り付けられていることが分かる。
ついでに、橋全体の長さは明石側960.00m、主塔間1990.80m、淡路側960.30m、合わせて3911.10mとなっているので計算すると主塔の両側に67個ほど、主塔間に140個ほど、道路の両側にあるのでメインケーブル上には合計(67+140+67)x2=548球ほどの照明があるものと思われる。また、同じく宮地技報No.14 P74-82「明石海峡大橋補剛桁の設計」
によるとハンガーロープは一箇所につき2本で吊られているので照明の数の倍ほどの本数があるものと思われる。こちらの資料には道路の勾配も明記されていて、アンカー主塔間は3%の直線勾配、主塔間は1.5%の放物線勾配とされている。つまり橋に入ると主塔までは960x3÷100=28.8mの高度差、主塔の部分で3%で滑らかに接し上に凸の放物線の中央での高度差が1990.8÷2x1.5÷100=14.93m、アンカーから測ると橋の中央では28.8+14.9=43.7m登ることになる。
金甲山の駐車場に面して建つOHKの施設には極めて明るい白色LEDの照明が設置され駐車場側を照らしている。これに加えて建物の裏側にも同様の明るいランプが東方向を照らしていてこちらは空中のちりやほこりにあたって散乱するため明石海峡大橋を撮影する際にものすごく邪魔になる。そもそもOHKの施設のせいで肝心の視界が遮られているので橋の方向が樹木に遮られることなく観察できる場所は極めて限られているのだが、かろうじて見つけた撮影場所までOHKの光害で邪魔されるというのは実に腹立たしい。防犯のためなら施設内だけを照らすようにしてほしいものだ。
近年アホみたいに全方位を鋭く照らす白色LEDが市街地、ど田舎を問わず激増していて実にうっとおしい。照らすのは仰角マイナス30度位に自主規制してほしいものだ。
23時ライトアップ消灯直後しばらくはあべのハルカスの展望台は白っぽい明かりがともっていたがこの撮影時は営業終了で既に消灯、赤の航空障害灯だけになっていた。
国土交通省航空局交通管制部 管制技術課航空灯火・電気技術室 から公開されている
「航空障害灯/昼間障害標識の設置等に関する解説・実施要領」という文書に航空障害灯その他に関する決まりが具体的に書かれていて興味深い。
https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/img/beacon/oblobm300327.pdfとりあえず日没から点灯する決まりになっているというのも有益情報だ。
黒く写っている海面は明石海峡大橋よりも25kmほど手前の海面である。海面に浮いている明かりは家島諸島の南に位置する松島の沖に設置した定置網のものだろう。橋の下で光っている緑の灯火は橋梁灯の左舷端灯。水源に向かっているときの航路の左側限界をあらわしている。
河川を遡るときは「水源」は明らかだが海についてはどうなるのか?潮の動きで海水は往復するし水の動きとか海流を元に決めているわけではなく、純粋に定義の問題として定められている。日本全体で見ると与那国島が水源ということになっていて他に取り決めがなければこれに従う。ところが瀬戸内海については阪神港が水源と定義され、さらに瀬戸内海の中でも宇高航路については宇野港が水源ということにしてあるらしい。
この画像の明石海峡大橋の場合岡山から阪神港側、つまり水源方向を見ているので左側が左舷となり緑の灯火がついている。船がくぐる大きな橋がかかっていれば必ずこの灯火がついているはずなので注意してみよう。海にはセンターラインや路側帯はないがよく見ると灯標、浮標などで様々な情報が表示されている。赤や緑は飾りじゃない。石井幹子もこれを邪魔するようなイルミネーションはつけられないだろう。灯火の色が見えない昼間はどうするか?これは形状で決まっていて緑は四角形、赤は三角形の標識である。形象物はいろんな方向から見るので結局円筒または円錐を上部に取り付けることになる。
海上保安庁の資料に詳しい説明がある。
航路標識の設置及び管理に関する
ガイドライン
(平成30年8月1日改訂)
■【視点による方位角の違い】
金甲山から明石海峡大橋が見える場所で一般人が立ち入り可能なのはOHK前の駐車場(北東の角またはOHK建物の北側)と山頂展望所の2箇所だけ。
無限遠にある物体の方位角はこちらが移動しても変化しないが、有限の距離にある物体の方位角はこちらが移動するとき距離に応じて変化する。当然近い物体ほど方位角の変化は大きい。2地点の東西の差は問題にならないが、南北の差(140m)は方位角の違いとして、また高度の差(25m)は仰角や光達距離の違いとして現れる。
GoogleEarthの距離測定ツールを使うと2地点を結んだ線の方位角を正確に読み取ることができる。水平線上僅かに見える明かりが本当にあべのハルカスのものなのか確信が持てないという人が居たので傍証になればとそれぞれの目印の方位角を調べプロットしたスケールを撮影した画像に重ねてみた。撮影時刻は1時間違うのでレインボーの配色も異なっている。にくい演出だ。駐車場で撮影した下の画像ではあべのハルカスの明かりが見えていないが、20数メートル高い山頂からははっきり見えている。また、コスモタワーの航空障害灯も最上部のものは駐車場から見えているが山頂からは更に下の部分にある灯火も見えるようになっている。こちらの標高がわずかに異なるだけでこれだけ見え方が変わるのは面白く、これも金甲山の奇跡だろう。
あべのハルカスと明石海峡大橋の位置関係を実感してもらうためにはあべのハルカスから後ろ向きに金甲山まで飛行するシミュレーションが有効かもしれないと思いGoogleEarth Studioで作成してみた。大阪湾岸の港大橋などは橋の構造やテクスチャも含めてきれいに3D化されているが、残念ながら明石海峡大橋や瀬戸大橋は3Dデータが与えられていないようなので当面はKMLデータを自作してオーバーレイするしかない。幸い宮地エンジニアリング様提供の設計値が判明したのでとりあえずセンターライン上でアンカレッジ、主塔、中央点の5点について位置と高さを設定して折れ線で橋のKMLデータとした。
シミュレーションの最後で実写画像と交互に表示して方位角の一致を確認できるようにしてある。GoogleEarthに大気差をシミュレートする機能がないのは残念だ。
方位角を数値で示してもまだあべのハルカスの明かりであることを疑う人のためには灯火の時間的な変化を見てもらうしかないということでチャンスを伺っていたが2025-01-26(日曜日)ようやく条件の良さそうな天候が訪れたので撮影してきた。
2秒露出のタイムラプスなので赤い航空障害灯の点滅はわからないが午前零時のライトアップ消灯の直前23:58:35にあべのハルカスの最上部の一番明るい照明が消灯し航空障害灯の赤がわかりやすくなる。その後明石海峡大橋のライトアップが23:59:30から30秒かけて消灯、その後しばらくはあべのハルカスのビルの明かりも弱く点灯していたが00:09:34にはほぼ消灯し航空障害灯だけになった。動画撮影した映像を見ると航空障害灯だけが点滅しているのも分かる。そもそも明かりの両端に赤い灯火があるという時点で同一箇所に停泊する大型船舶ではないことがわかるのだがそれでも信じられないと言うなら電話で打ち合わせしながらあべのハルカスの屋上から金甲山に向かって強力なサーチライトで合図を送ってもらうなどの実験をするしかないだろう。
あべのハルカスのフロアを
公式サイトで確認すると最上部は3階分がガラスで囲まれた展望台「ハルカス300」、その下57階は大阪マリオット都ホテル最上部の展望レストラン、55階から38階までがホテル客室になっている。金甲山から見る場合ホテル棟の最上部付近、西側と南側が見えていることになる。
展望台のガイドによると
perplexityAIの良いところは的確に探してきた情報ソースも同時に示してくれるところで近鉄不動産(株)のニュースリリース「あべのハルカス 天空のイルミネーション 2022」のPDFを元に回答してくれたらしい。毎年行われており今は2024が実施中だが2024のリリースでは60階のトゥインクルライトについては省略されている。リリースを見た限りではこのトゥインクルライトが常時稼働しているのか天空のイルミネーション開催中だけなのかは明記されていなかった。毎時0分に時報の意味で外周を流れるように光らせるということは年中実施していてもおかしくない気がする。長い間撮影してきて今まで気づかなかったのは不覚というしかないが、光は弱いため非力な10cm屈折や20cm反射望遠鏡できれいに写すためには感度を落として長時間露光した静止画を元にタイムラプスにするしかないので外周部を光が流れていても単に明るい静止光源にしか写らないので仕方がない。SONYα7SIIIの動画モードでも感度不足気味なのでC11位の口径がほしいところだ。そして常に視界を邪魔する樹木の枝!なんとかならないものか...
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